今回は司法書士らしい(?)記事を書きたいと思います。まぁ、あんまり労働契約について口出しできないんですけど。笑 一般論として述べたいです。
それと名前は伏せて実例紹介をします。
あなたは何が許せないの?
私が許せないのは「雇用をしたくないための業務委託型労働契約」が増えている、ということです。
もちろん、雇用(?)されている側が例えば私達のような士業やフリーランスであれば一定の理解はありますよ。まさに個人事業主同士がパートナー契約を結んでいるようなものですからね。
しかし、労働者が「自分の腕一本で戦っていく。」という意識なら構いませんが、悲しいことに労働法の潜脱のために使われているという実態があります。
新卒の大学生に「うちの企業は業務委託契約になるけど?」みたいなことを言っている企業もあるようですが、超ブラックなのでこの言葉を聞いた瞬間に別の企業にいくべきだと私は思います。
超ブラックだと断定できる理由としては間違いなく労働法を潜脱しようとしているからです。
労働法の潜脱ってどういうこと?となるかもしれませんが、
業務委託契約、というのは請負契約の一種で、簡単にいえば「個人事業主」とみなしてパートナーとして契約するということです。
つまり、企業の「社員」ではないのです。
これをすることによって企業は労働基準法を無視することができます。だって社員じゃないですからね。他人ですよ他人。
雇用保険?ありませんよ。
健康保険?ありませんよ。
残業代?つきませんよ。
労働時間?あなたの自由で。
有給?ありませんよ。勝手に働いて下さい。
交通費?自腹でお願いします。
税金?勝手に払って下さい。
とまぁ、こんな具合です。
「雇用」を求めている就活生のイメージとはまるで違いますね。
「個人事業主」とは起業したと同義で、成果もマイナスも全て自分一人で責任を追わなければならないのです。
「個人事業主」とのパートナー契約なんて所詮パートナー契約なので、契約期間なんてものが設けられていたとしたら期間満了した時点でクビ同然という事態に陥りかねません。
業務委託契約では会社は守ってくれません。自分の身は自分で守って下さいということになってしまうのです。
こういう提案を受けている人は素直に自分が「個人事業主」としてやっていきたいか否かをしっかりと考えましょう。起業をするのと同じですからね。
まぁ、こんな提案もなく何も知らないまま勝手に「個人事業主」になっている人もいるようですが・・・・
非常に問題ですね。
関根がなぜこの実態を問題視しているかと言うと、身近に実例があったからです。
下記見出しから紹介します。
実例紹介
Aさんはアニメ業界では有名な企業につとめていました。世間的にもかなり有名な企業です。
しかし、条件をみるとかなりのブラック。
「基本給5万 のこり出来高制。」
他にも条件はありましたが、私はこの部分に強い衝撃を受けたものです。というかこれで生活できるのか・・・。
ちなみに、出来高といっても、1枚数十円という単位の出来高で、1枚仕上げるにもかなりの時間が掛るようです。この出来高の相場もおかしいような気がしますね。
交通費や社宅費用くらいは支給されているようでしたが、話を聞いてみると「俺は個人事業主扱いらしい」ということを言っていました。
私は疑問に思いました。
「基本給もらってるのに?笑」
基本給をもらっているということは「業務委託契約」ではなく「雇用契約」なのではないか・・、と直感的に感じる部分がありますし、これはまさに労働者に対する無駄な出費を抑えるための策なのでは?と瞬時に考えました。
そして、実体的には作業の指示をうけ、これしろあれしろ、仕事が終わらなければ社宅にも帰られない状態だったと話を聞きました。
納期という言葉で強制労働させるわけです。
そもそもが、個人事業主扱いならば作業量や労働時間は個人の自由。個人のやった成果だけ反映されるはずですが、これは実態として「雇用契約」といえるような事実なのではないかと思います。
できれば社労士や弁護士の先生のご意見を伺いたいところですが完全にアウトではないでしょうか。
実態が雇用契約ならば、契約書もそれに沿うべきです。
そして、雇用契約になるならば「最低賃金」も当然保証しなければならない事になります。
Aさんは「俺、時給5円のときがあったんだよ。笑」と笑っていましたが、笑い事ではありません。
それでは生活もままならないでしょう。
だいたい、5円なんて自販機の下を探していたほうが稼げますよ。
企業側もこうした契約を提案するならば、労働者に個人事業主としての自由を与えるべきです。
労働者は稼ぐも稼がないも自分の自由。請け負った分の仕事さえ処理すれば、後はワークスタイルに合わせて副業もするし、他の事業もする。こういった自由のもと色々なことができるというなら、まだ納得ができます。
しかし、Aさんに自由はあったのでしょうか?
結局は「納期」という言葉に縛られ、社員から色々な指示を受け、奴隷のように働かされていたのです。
Aさんは夢を追っていました。
夢を追うと何故か日本ではその先にブラック企業が待っています。
それも生活もままならないような条件を提示する企業だって存在します。
夢追い産業はなぜこうもブラックばかりなのでしょうか。その原因は業界人ではない私にはわからないものがありますが、「労働基準法」を大幅に無視したような雇用契約を締結している企業があまりにも多数だと言うならば、夢追い産業全体が見直されるべきではないか、と考えます。
というか、「労働基準法」は何故こんなにも日本では無視されるのでしょうか。
れっきとした法律なんですけどね。
「労働基準監督署」も実際に企業に「何かされた後」ではないとあまり動かないみたいですし、それでは対応が遅いのではないかと思います。色んな理由はあるのでしょうが、監督するところが甘くて労働者を守れるのでしょうかね。
「労働基準監督署」が守ってくれないなら、労働者は自分で行動せざる負えないので「労働組合」さえもない企業なら「労働ユニオン」とかに所属するしか自分を守ることができないのです。
なんだかなぁという感じですね。
話は戻りますがその後、Aさんは結局、生活する基盤をつくることができずに退職し、今現在は別の企業で勤めています。
今現在の企業では当然「雇用契約」です。
ブラック企業とは違い、過当な労働時間から逃れた自由な時間を使ってまた夢を追っています。
そちらのほうで成果が出始めているようで、今後が楽しみですね。
それでは以下まとめ
まとめ
こういった「偽装請負」と呼ばれるような契約の態様が増えています。
企業側はお金がないからそういうことをするんでしょうけど、実態が雇用ならばやはりちゃんと雇用契約をするべきでしょう。
労働者を奴隷のように酷使するのは勝手ですが・・・・後で痛い目を見ますよ?
私はこういった契約を許すつもりはありません。ましてや労働者側が知らない内に「個人事業主」扱いにするなど言語道断許せない。
この問題に対して「司法書士」としてできることは職域の関係上残念ながら少ないでしょうが、この日本に住む一人の人間として問題意識を抱えることはできますし、色々な人に相談することはできます。
本当になにかできないかな、と考える今日このごろですね。
以上
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